アラサーからの歯列矯正(1): 失敗談から学ぶ良い矯正歯科クリニックの探し方

去年から歯の矯正をしています。

実は、周りにも大人になってから歯科矯正を始める人・矯正用マウスピースを作る人がけっこう多いらしい。これは結婚準備、主婦になって時間ができた、またはそれなりに自由にできるお金が手元にできて、昔から密かにコンプレックスだったことにお金を費やせるようになった人が多いからかな、と思います。そして、わたしも例外ではなく「30代を心身健やかに、平和で温厚な顔面さらして過ごしたい」という思いで苦行に踏み切りました。

もう施術を受け始めて2年目後半になるんですが、実はなかなかに矯正器具に人生を左右されてしまっています。特に、一回転院したことが響いていますね…。だから今日は、自分の失敗談と、前もって知っておきたかったなということを書いていきます。

私の受けている治療について

まず当初の自分の状況がどうだったかというと、上顎が普通に比べて小さいらしく、下顎とのサイズが合わずにかみ合わせがずれていました。顎関節症や頭痛がひどいし、顎の「正中」がずれているので審美的にもコンプレックスでした。自分の顔が好きではないのだから、なかなか屈託のない笑顔を人に見せるなんてできません。

口角がきゅっとあがって歯がこぼれるような笑顔になる人が、同じ人種に思えない…。小さい頃に柔らかいものばかり食べていたわけではないように思うのだけれど…でもやはり現代病といってもいいのではないかと思います。気づいたのは26歳くらい。

さらには永久歯も元から生えてきていない欠損部分があります。というわけで乳歯とサヨナラして以来ずいぶん長い間、歯抜けの状態で過ごしているわけなのです。大事な奥歯の部分なので、これをインプラントかブリッジで間を埋める施術をした方がいいよ、と言われ続けてはいました。でも、かみ合わせがあっていないのにインプラントを入れても…と思っていたのでなんとなく延ばし延ばしそのままでした。

そこで思い切って歯科矯正をすることにしたのが、2019年春のこと。20代前半は講師業などしゃべる仕事を多めにしていたのですが、家でコツコツ翻訳をする方が合っているような気がしてだんだん仕事を「黙々する系」に移行していた段階だったし、少しは貯金もありました。

治療は、「やわらかいU字」ではなく「V字」のような形になっている歯並びを整えて、かみ合わせをよくする必要があるようでした。だから歯の外側からはワイヤーとブラケット、奥歯にはバンドという金属の輪っか、そして歯の内側からも歯列を広げる(上顎)・歯列を狭める(下顎)装置をつけて生活しています。そして矯正開始からずっと、1ヶ月に一度調整に通っています。

歯科医師の選び方は間違っていないはずが…転院の憂き目

まず、かなり高い買い物ではあるし、失敗のエピソードなどを読んで失うものの大きさを学んでいたので、用心しながら矯正歯科医師探しをしました。日本矯正歯科学会の認定医」の一覧を見て、出している論文や評価を調べたのと同時に、定期検診で通っている先生に信頼できそうな矯正歯科医を知っているか聞いてみたり。やっぱり専門家の紹介する専門家が信頼できると思います。結局、定期検診の先生が『早くて的確』と紹介してくれたし、大人もよくかかっているらしい医院へ行くことに。カウンセリングに行って、これまでの症例や、かかりそうな期間や値段を聞きました。なんなら「これまで先生が失敗した例とかはないんですか?」とも聞きました。

しかし、ここで予想しなかった問題が起きました。通い始めた矯正歯科が患者数が多すぎて回っていなかったのです。先生が業界雑誌に掲載されたり、学会で発表したりしているところからの評判らしい。でも先生の手も頭も患者のキャパに合わせて回っているようには見えなかった。休日の予約なんて当たり前に取れないし候補日としてすら挙げてもらえない、診察イスの上で30分待ちぼうけ、歯科衛生士さんの大声が飛び交い、器具は在庫切れ、充電切れ。器具がきちんと掃除されていないこともあった…。そして、歯科衛生士さんたちはみな敬語を使わない環境でした。子供が多いから仕方がないのかと思ったけれど、でもやっぱり自分には不快に思えてしまって…。1年弱我慢して通ったのだけれど、行くたびにいやな思いをして、そしてある日プチンと何かが切れてしまいました。診療台の上で待ちぼうけをくらったあげく、新人らしき歯科衛生士さんに歯形をとる装置を喉に思い切りつっこまれたんです。サラサラの唾液を垂れ流してひとしきりえずいたところで、泣きながら「もう転院します、耐えられません」という言葉が口をついて出てきました。

後に、院長から謝罪と改善の約束の電話が来たけれど、もう気持ちが途切れてしまっていました。こちらとしてはトラウマ級に嫌な思いをしたわけだから…。それなりに事前リサーチをしたつもりだったので余計にショックでした。でもインターネットでの検索と一回目のカウンセリングだけじゃ、運営部分がキャパ超えしているなんて気づけない。もっと医療機関のレビューが増えたらいいのだけれど…。

医院を選ぶ判断基準に加えたいこと

コミュニケーションが円滑か

この件から、技術ももちろんなのだけれど、長く通う場所だから、心安らかに通えそうな雰囲気のところを探すのが大事だと思いました。

先生の人柄、歯科衛生士さんや受付の方の言葉づかい・心遣い…実はこういうところに患者をどう扱うか、医院内部できちんとコミュニケーションが取れているか、医療技術だけでなくサービス部分にも気を使っているかが出ている気がします。今から医院を探す方は、最初のカウンセリングの時にそこも観察して、『自分が通いたくなる雰囲気があるか』をぜひ判断基準にしてほしいと思います。

さらに、転院した先で、「現在のカルテとデータでは前の先生が何をしたかったかよくわからないから、ちょっとやり直しますね」と言われてしまいました。そういえば、『今この治療を何をどうするためにしているのか』という説明がほとんどなかった。治療も、「はーい、口を思い切り開けて」とは言われるけれど、「いまから歯に樹脂を盛っていきますね、これはワイヤーに上の歯が干渉しないようにするものです」といった説明はまったくありませんでした。聞かなかったわたしも悪いのかもしれないんですが、専門家が説明なしで進めるのだから、患者はなすがままになるほかないかと…。自分が受けている治療と方針についてきちんと必要な時間を割いて説明してくれる、そして治療中にこまめに声かけをしてくれる医師を選びましょう。

医院の清潔さ、連携の取れ具合

最初の医院では、なんとCTスキャン装置の耳に挿入する部分が耳アカだらけだったことがありました。そして担当のスタッフはそれに注意を払わず、そのまま使おうとしていました…。今通っているところでは、この経験を説明して毎回自分の見えるところで消毒をしてもらっています。(そして毎回同情される…。)また、診察ブースが整理整頓されているか、ガチャンガチャンと乱雑で余計な音がしていないか、歯科衛生士さんの連携は取れているか、そういうところがちゃんとしていると耳アカだらけのCTスキャン器具を耳につっこまれる可能性は低くなる、と思います。

器具調整のときのクリーニング

また最初の矯正歯科では、器具を取り換えるときに歯のクリーニングをしてくれなかったです。毎月の調整に行った時にクリーニングをしてくれる矯正歯科は、実はたくさんあります。カウンセリングの時に清掃を毎回してくれるか、質問してみてください。クリーニングがあるかどうかで、虫歯になる確率がかなり違うと思います。特に矯正中に虫歯になると、一度装置を全部外して虫歯治療が終わるまで矯正できなかったりと問題が多いので、気に留めておいた方がいい部分です。

一般歯科探しにも参考になる歯科医師による、いい歯科医院の探し方・選び方 も読んでみてください。

さいごに

自分がリサーチをしていた時には見つけ出せなかった情報なんかも書いたので、どなたかの役にたったら嬉しいです。時間もお金もかなりかかることだからこそ、数カ所にカウンセリングに行ってみて比較検討するのが確実です。

次回は、矯正器具をつけたまま生活する時に苦労する点、それを乗り越えるために試行錯誤していることについて書きたいと思います。

アラサーからの歯列矯正(2): 治療中の生活での問題点&やり過ごし方

2020年10月24日