アラサーからの歯列矯正(2): 治療中の生活での問題点&やり過ごし方

 

2019年春から、将来への投資のつもりで矯正歯科に通っています。

アラサーからの歯列矯正(1): 失敗談から学ぶ良い矯正歯科クリニックの探し方

2020年10月23日

アラサーからの歯科矯正(1)では、自分の失敗談から学んだ良い矯正歯科クリニックの選び方を書いたのだけれど、今回は普段の生活の中での歯科矯正の影響を書いていきます。正直言ってQOL(生活の質)はかなり下がりました…。「子供の頃に5年間頑張った」なんて経験談も聞いたけれど、これを5年続ける自信は、わたしにはない。本当にその精神力を見上げるばかり…。

ただ、わたし個人的には最初の1ヶ月を超えたら耐えられない範囲ではない、と思います。今後長く続くだろう人生が良くなるなら、今頑張ろうとちゃんと思えているから。だから、まだ矯正を開始していないけれど漠然と怖いなと思っている人にとっても、この記事で少しイメージがついたら嬉しいです。そして、歯科矯正中に自分の機嫌を取る方法をいろいろ考えてみてください。

まずわたしの口内の治療がどうなっているかを書いておくと、本来「やわらかいU字」であるべき歯列がV字のようになっているので、それを広げたり狭めたりして整えて、かみ合わせをよくする必要があるようです。だから歯の外側からはワイヤーとブラケット(ワイヤーを支える部分)、奥歯にはバンドという金属の輪っか、そして歯の内側からも歯列を広げる(上顎)・歯列を狭める(下顎)装置をつけて生活しています。けっこうな拘束をされてます。

いろいろあって1度転院したものの、運良く現在の良い矯正歯科医院にたどり着き、いまは平静なメンタルで月に一回装置の調整のために通院しています。

常に襲ってくる「むず痛がゆさ」

歯を締め付けて動かすわけだから、もちろん歯と歯茎に大きな負担がかかるわけで….。はじめてワイヤーをつけた日は、なにも固形物を食べられなかったです。頭蓋骨ごとズキズキして気持ちも沈み、料理する気も食べる気もあまり湧かなかったような気がします。処置の前に、おかゆのパックなどを十分用意しておくべきでした。もうこの期間は、とにかく自分を甘やかして、食べられるものを胃に入れたらいいです。

そして1週間くらいすると、今度はなんだか歯茎が気持ち悪くてついつい触ってしまうんです。この感覚は、なんといい表したらいいんだろう…。一番近くて「むず痛がゆさ」でしょうか….。様々な体験談を読んでいてイメージトレーニング(チキンです、はい)はしていたのだけれど、器具をつけてみて初めて『歯が浮く』と言う言葉の意味が初めて理解できました。とにかく気持ち悪い、 歯茎が腫れているときとか歯周病を疑うときに感じる、あのだるい感覚。歯肉を押して痛みで相殺しなければならないような気持ちになります。

常に襲ってくるこの不快感はメンタルにも響くもので…とにかく集中できない。痛さがあまりにも強い、というのではなくて、慢性的にムズムズ・ズキズキするんです。側からみたらよくわからないから、「つらい」と言ってもしょうもないことに愚痴っているように見えるんですが、本人は本当につらい。子供の頃に歯科矯正をしたことがある人は、このつらさに対して、かなり実感をこめて共感してくれます。というわけで、愚痴るなら経験者にするのがオススメ。

最初の1ヶ月間は、本当にこれに慣れる日がくるのか….と絶望していました。(朗報としては、慣れます。)3ヶ月くらいしてやっと、痛み止めなしでもこの歯茎のむず痛がゆさを無視して作業をすることができるようになりました。

1年半経つ今となっては慣れてマシになったものの、やっぱり器具調整に行ってからの数日はしんどいです。気になって歯をすり合わせたりしているから、顔もこわばりがち。だから夜に顎の咬筋という部分をほぐしてから寝るようにしています。

口の中と舌に切り傷ができる

歯の内側からも歯列を整えるための装置をつけているわけだから、これが舌の居場所を狭め、舌を動かすごとに舌が切れたり痛んだりします。頬の内側もワイヤーにはさまって傷だらけになりやすいし、たくさん喋るとブラケットに唇の内側がこすれて小さな切り傷がたくさんできてしまいます。

これらはもう、クリニックでもらう「ワックス」を貼り付けるしかないみたいです。わたしは歯の面にも裏にも貼り付けておかないと痛いため、ワックスの消費量が多い…。だから10cm×20cmの特大ワックスシートを毎回もらっています。

でも実際、舌の順応というのはすごい。器具を調整して1週間たつと舌の切れる頻度がぐっと下がります。舌が器具の場所を覚えて無意識に避けるみたい

最初の3ヶ月が経ってしまったら、これもわりと気にならなくなったので、ワックスをこまめに貼り付けてつらい期間をやり過ごしましょう。ワックスが足りなかったら器具調整の前でもワックスの追加をくれるところが多いと思います。

ちなみに、歯磨きをする前にワックスを取り除いてから歯ブラシを当てたほうがいいです。歯ブラシの繊維の間にワックスが入ると一瞬で歯ブラシが汚れ、しかも繊維がベタベタして磨きづらくなってしまいます。

はっきりした発音がしづらい

人と会話をする仕事をする人にとっては初めの1ヶ月、かなり辛いかもしれないです。それは、痛いだけでなく自分の思い通りに発音できなくなってしまうから。

歯の外側のブラケットがあるから、思うように口を動かせません。わたしは前歯のブラケットに唇がひっかかったりします…。できたら初めの一週間はあまり人に接する予定をいれず、ブラケットとワイヤーがついた自分の口に慣れることに注力するのが賢いやり方だと思います。どうしても仕事を抜けられないとすれば、仕事2連休の前の日に器具を取り付けるとか、少なくともそれくらいの余裕をみたほうがいいかと。

わたしは特に、歯の内側にも装置を沿わせているわけだから、「ら」とか「た」とかがとても言いにくいです。その両方とも口蓋(上顎の中部分)に舌をぴったりとつけることで発音する音なのだけど、どうも舌と口蓋の間にワイヤーを挟むから空気が漏れる感覚がする。いまだに少し舌足らずに聞こえてしまいます。

そして大事な飯の種である英語になってくると、もっと話せないです。特に上前歯の後ろに舌をつけて発音する “L”がとても下手になりました。通じるレベルにまでは回復したのだけど、常にちょっと巻き舌。しゃべる仕事を減らしておいてよかった…。それでも最初の数ヶ月、こもりきりの間にちゃんと聞こえる発音の練習をなるべく行うようにしていました。

痛恨の極み: 食事が楽しめない

矯正で一番下がったQOL(生活の質)は、食の部分。美味しいものを食べることは、わたしにとって生きる理由の大きな要素を占めているのだけれど、うまく噛めないし舌が動かせないから、食事の満足度がグッと下がりました。当初なんか、あまりに噛めず、食材を飲み込むしかなくて、消化不良でお腹をこわしたくらい。毎日毎日材料を細かく切るのもだんだん面倒になってきます…。今となっては食料品の買い物にいくと、無意識に「これは噛みやすいか」という判断基準で選ぶほどになってしまいました。

特に肉は強敵。肉を噛むと繊維が歯にはさまって、おいしく味わえないし、後から繊維を取り除くために、普通の歯ブラシ→部分用歯ブラシ→爪楊枝→極細歯間ブラシ、と様々なツールを使って掃除をしないといけない。矯正はつけているだけで虫歯になりやすいのに。わたしは使っていないのだけど、電動歯ブラシをお勧めしているブロガーさんも多いですね。矯正をしているとフロスは使いにくい。だから洗面台の鏡の前で角度を色々変えつつ思いどおりに動かない歯間ブラシをなんとか操り、詰まりを取り除くことになります。

だから肉を食べたいときにはひき肉か、角煮のようにモロモロになるまで柔らかく煮たものしか食べていません。この状態に、炊飯器調理は役に立つ。例えば鳥の手羽元と白菜とサツマイモを適当に醤油とみりんと砂糖と顆粒だしで味付けして炊飯ボタンを押し、そのまま半日ほど保温のまま放置しておくと、全ての具材がやっわやわになります。歯が生えているのにやわやわなものしか食べられないのは悔しいけれど、せめて多彩な味を感じたいという欲求は満たしてくれます。

そして最悪の敵は、ニラニラは避けよう。奴らは身体まるごと繊維みたいな野菜だから前歯奥歯問わずに絡みつき、全然退いてくれません。そして色も目立つ…。めちゃめちゃ刻んだら大丈夫だとは思うんですが、でもわたしはもう見るだけでニラが怖いです…。でも、「完全食」だと思っている餃子は食べたいので、キャベツ入りを選ぶようにしています。

あとは美食を諦めて、歯科矯正をしている期間は筋肉増強メニューに全振りするのもいい考えかと思います。期間限定で肉体改造を一気にやってしまうという感じです。栄養素メインのメニューは飽きが来るのでわたしはあまり好きではないのですが….。でももうこの2年間くらいは修行だと思って、プロテイン多めの粗食で栄養とカロリーを摂取しています。

例えばわたしは寝起きが悪いため、朝はとくにものを噛めないのです。だから豆腐とバナナとプロテインのスムージーで午前中を過ごしてます。「プロテインを飲んでいる理由、それは肉が食べられないから」と言わなければとても意識が高そうに聞こえるメニュー。

もし矯正のせいでバランス良く食べられないとしたら、プロテインとともにサプリを飲むこともオススメします。知らず知らずのうちに食べるものが偏り体調に異常をきたすのは避けたいですね。わたしは朝のスムージー摂取時に、鉄分が取れるものとビタミンB群が取れるものを飲んでいます。

もしまだ矯正を始めていないなら、矯正前に、好きな食べ物や行きたいレストランの料理をしっかり味わっておいて、それを思い出しながら2年をやり過ごすと、いいのかもしれない。

顎下がたるんだ!?

矯正をしているせいでたくさん噛まないといけない食べ物を避けているし会話する量も減ったから、顔まわりの筋力が低下してしまったようで、顎下が心なしかたるんでしまいました。(決して加齢だけが原因ではないはず…。)

というわけで、慌てて顎下のたるみ改善エクササイズを始めました。装置をつけた当初には気づかなかったんですが、2020年はほぼマスクで過ごしているので今のうちに巻き返せば大丈夫、なはず。今は、家で作業をしながらずっと変顔をしている状態。けれども普段のよそゆきの顔の印象が悪くなるよりよっぽどいいかな。動画はいくつか試したのだけれど、下の動画は効きました。ひとつひとつの動作の順番が、大事みたいです。

 

引っ越せない

当たり前のことかもしれないですが、キャリアを変えたい、遠くに引っ越したいと思っている時期なら矯正はお勧めできません。自分が転院してみて、正直引越しなどによる転院は不可能ではないな、と思いました。けれど医師によって方法論やポリシーが違う場合はあるし、わたしのように処置の段階がすこし前に戻されてしまう場合もあります。

さらに矯正が一通り終わったあとは、そのかみ合わせを維持するためにリテーナーと呼ばれる保定装置(マウスピースなど)を装着することになります。矯正装置を付けていた期間と同じくらいの保定期間が望ましいらしいので、3年は少なくとも見込んだほうがいいですね。インビザラインのようなやり方なら、もしかしたらこの点はクリア出来るのかも。自分のかかる先生と相談次第ですかね..。

もしお金に余裕があるなら、なるべくキャリアや人生プランに影響が出にくいうちに、と言いたいところ。自分も、学生時代、就職活動が始まる前くらいまでに気づけていたらよかったな…とすこし悔やんでいます。(まあ結局就職してないんだけど…)わたしの場合、歯並びがガチャガチャしていたというわけではないので、誰も指摘してくれませんでした。26歳で顎関節症がひどくなって相談した定期検診の先生に、上顎の発達のせいで咬合がおかしい、という指摘をされるまで、自分でも気づかなかったので。

まとめ

大人になってから矯正を決意する人には様々な理由があると思います。自分の意思で使えるお金が貯まったとか、昔はチャームポイントだった八重歯が気になってきたとか、親知らずが生えてきて歯並びがずれてしまったとか、このままの歯並びだと顎関節症が悪化するとか…

虫歯をできにくくする、顔や体の歪みを取る、顎関節症を改善する、見た目が美しい顔にする…歯科矯正には様々なメリットがあるけれども、そのプロセスはけっこうつらいものです。でも、それもかなり「慣れ」で緩和される。人間の身体はたくましい。

まずは、そのつらさを耐える価値のある結果をくれると確信できる矯正歯科医探しを、一番気合をいれて行ってください。いざ始めたら、この絶望的な痛さと不自由さにも慣れる日はそんなに遠くないと信じて、今のつらさを乗り切ってほしいなと思います。応援しています。一緒に頑張りましょう。