DNAテストが変容させる家族とアイデンティティ

恋人に出会ったのは、彼の子供を産んだ12年後 ( “I met my boyfriend 12 years after giving birth to his child ” )という英国BBCの記事を読みました。

一体どういうこと???? と思ったら、あるバイセクシャルの女性が精子バンクから精子提供を受けて、当時の同性パートナーとの間に子供をもうけ、同性パートナーと別れてから、DNAテストを通じて子供の生物学的父親である精子提供者を見つけ、そしてその精子提供者男性と恋に落ちたという内容です。

まるで一冊のフィクションを読んでいるかのような感覚になる記事でした。まるでSFのような実話。家族のあり方の変遷の現代的な一例なんだなあ、と大変に興味深いです。

さて、実はわたしもDNAテストを去年受けました。どんな予想外の血が混じってるのかと自分にしては珍しいほど胸躍らせて待ちわびていたのですが、95.4%日本人、という結果でした。残りも完全に東アジア人。結果を開けた時、おもわず「つまんないな….」と言ってしまったほど期待との落差が激しかったです。

遺伝子のハプログループも特に珍しいところはなく、わたしの流浪癖に民族性は関係なかった…。欧米発祥のサービスなので、沖縄人・東北人の区別などないのかもしれないですね。そういう日本人の定義づけが変わったら結果に影響がでるのかもしれないと思っています。

この日本人Youtuberの方の結果が、ほぼわたしと同じ。

Courrier によると、アメリカでは、白人主義者に黒人の血が入っていると判明したり、亡父がアイルランド出身のはずが自分にはアイルランドの血が入ってないとわかったり、アイデンティティを揺るがす様々な結果があるようで。今まで見えなかったものが目の前に現れると、いいことも悪いこともありますね。

まだテスト結果はサービス提供会社によって違ったりと、信頼性の問題もあるので今現在はほとんど娯楽にしかすぎないようです。でも、これが血統主義などによる差別を減らす役割を社会で担うのであれば素晴らしいことだと思っています。一方で、大手製薬会社グラクソ・クラインが23andMeの株の多くを獲得したということが報じられていました。集まったDNAデータを役立てる準備は着々と進んでいるようだ。それゆえ一部ではDNAデータという個人情報を大会社が取得できるという状況に懸念も生まれているようです。

文化人類学者のポール・ラビノウ(Paul Rabinow)は、遺伝子による病などは近い未来、人類にとって回避可能な運命になると言いました。しかしこの祖先をたどるDNAテストは、これがなければ知ることもなかった血筋・アイデンティティの流浪など、一種の運命というものを新たに作り出し、定義づけているように見えます。

そんなことを思いながら、多国籍なyoutuberたちが興奮を抑えられない様子で結果報告してるのを羨ましく横目で眺めていました。​

DNAテストがもたらした社会影響についての記事を以下に貼っておきますので興味がある方がどうぞ。
Youtubeで “DNA test”と検索すると色んな言語のビデオが表示されるんですが、そちらも合わせて視聴すると空気感がわかって面白いです。

面白かった関連記事

●Courrier.jpより

「娯楽としてのDNAテストと思わぬ社会影響」
「自分は白人だ」という思い込みが検査で覆された人々は、どんな反応を示すのか?

●その他

先祖のトレースのメカニズム・ハプログループについて

momondo – The DNA Journey(Youtube動画/ 日本語字幕あり)