羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)は「赦し」の物語だと思う

 

世間では鬼滅の刃が大ブームだけど、裏でやっていた「羅小黒戦記」(ロシャオヘイセンキ)、とても面白かったです。中国で作られた長編アニメ映画で、住処を追われた黒猫の妖精の男の子「シャオヘイ」が居場所を見つける物語です。元になったウェブアニメではシャオヘイ(小黒)を町で見かけて拾った女の子が「羅小白」なので、シャオヘイの苗字も羅なのですね。この映画は原作ウェブアニメの4年前を描いた物語だそうです。

キャラクターの主線が日本産アニメよりもずいぶん太くて、最初は絵柄に違和感があったけれど、10分くらいで慣れます(笑)

中国本土では大人気らしく、まずは字幕版が日本にきて、それが予想以上に人気だったために日本の豪華声優陣を起用しての大々的な吹き替え版公開となったようです。

くるくる動くキャラクターや画角は子供を夢中にさせ、そして誰も完全な悪でも完全な正義ではないところや、シャオヘイの「赦し」の態度が大人にグッとくるのかな、と考えました。展開リズムが良くて、鑑賞時間の体感が2時間を超えている感覚だったけど、1時間40分くらいだったらしい。天真爛漫で感情がわかりやすいシャオヘイと、ポーカーフェイスの中に優しさをにじませる「無限」の対比になごんでいたらコミカルな場面、アクションシーンと移り変わり、飽きさせません。後半にいくつかの伏線が回収されるので、前半に違和感を感じたらそれを大事にしたほうがよいかも。

また、自然情景の背景画が綺麗。木がそよいだり雲が動いたりせず、一枚絵の中にキャラクターが動き回るので、舞台装置のようでした。光の表現もとても叙情的で感傷をそそられる人もいるのかと。ちなみにわたしは、とくにまだストーリーに展開のない序盤の凧揚げのシーンで泣きました。

街中の様子は、がらっとかわって壮大なCGだったので、「こういうトーンの変化、わざとなのか、気にしないのが持ち味なのか…」と考えていたらいつの間にかストーリーが進行していたので、ちょっと記憶があやふやなところがあります。

オフィシャル予告版はこちら。

 

それからこちらが原作のwebアニメ。映画の日本公開あたりで日本語字幕が追加されたようです。

webアニメは、輪をかけてコミカルです。そして背景がシンプル。自主制作だったのかな…。パワーパフガールズみたいな主線だなと思いました。

もとのアニメがこちら。これを後からみて、映画にジブリ愛がにじみ出ていたのが、確信に変わった…。

 

1つだけ気になったのが、人間はただ無知のまま、どんどん妖精の住処である自然を奪っていくばかりだということです。妖精のみなさん、本当に人間が無知ですいません…と申し訳なくなってきます。

映画は黒猫シャオヘイが住処を奪われるところから始まり、終盤でも人間が改心するわけではなく、妖精側が一方的に譲歩している状態。人間と共存派の妖精たちも人間を変えようとしている様子はありません。このアニメ映画時点では、すでに色々あった上で落ち着いた世界だったのでしょうか…。

そのような設定の世界観だから、いろいろなレビューを読んでみる「中国体制のプロパガンダだ」みたいな意見もありました。まぁそうかもしれませんが、最終的には今現実の世界に妖精という存在を思い描いて見たときに、この映画を見た人がどう行動しようと思うかを問われている気がします。

 

いくつか伏線があるので、二回みるのが理想的かな、というところ。

一回でいいな、という方は見たあとにこちら↓のネタバレ記事を読むと、より理解できそうです。

『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』の「7つ」の盲点