3 週間ブログを放置してみたら、書くスピードが倍速になった

 

去年の後半のわたしときたら、余暇のほとんどの時間を使って、発信・アウトプットの上達に四苦八苦していた。全然ごろごろできていない。物書きとして上達の気配がなかなか見えなかったのに、バタバタしていた年末年始をはさんで三週間ぶりに手をつけてみたら、格段にスムーズに言葉が指先から出てくるようになった。…いいことだけど、狐につままれたように不思議な気持ちになる。

能力が一旦上がり止まるところまでバァーっと全力投球してみる。工夫してみてもこれ以上できない…となったら、しばらく放置してみる。それから再びとりかかると「レミニセンス効果」で以前つっかかったところを超えた能力が発揮できる。

この気まぐれなブログを続けてみることで人生全体に効きそうな発見があったのは、とても面白い。

思うようにいかなくて七転八倒していた、はじめの4ヶ月

本を読んで知識を蓄えるのは楽しくて、いつもそれだけで満足していたし、自分の意見に自信が持てなかったから自主的な発信にも興味がなかった。絵や文をかくことも昔から好きで、こっそり自分で楽しんではいた。けれど、それを使って世の中とコミュニケーションをしようなんて思えなかった。そんなだから、いざ自分の考えや見えている世界を表したいと思った時に、全然うまくできない。

うまく伝わるんだろうか、わたしなんかが書いて何の価値があるのか、という不安がそもそも筆を止める。やってみて失敗してみないと、何が足りていないのかも、何が求められているかも分からないのに。

自信のない自分の心の改善をすると同時に「とにかく月に10記事を目指して、なんでもいいから公開してみよう。自分は完成させられる、っていう体験を実際に味わうのが大切だ…」そう自分に言い聞かせて、夜遅くまで粘って書き物をしていた。…ごろごろするのが好きなんじゃなかったっけ、わたし。

Mixi第一次隆盛期くらいから、衝動的に長い文章を書くことはよくあった。書くのが好きだという意識はそこで醸成されたのだけれど、継続的に書くと言う行為を始めた時はそれが「楽しいこと」と思えるには能力があまりにも足りていなくて、本当に大変だった。

長すぎたり、堅苦しすぎたり、同じことを繰り返してしまったり、論点が飛んだり跳ねたり。欠点はよく目につくのだ、自分でも読みたくなくなる文章が仕上がってくるから。しかし頭でわかっていてもなかなか修正できない。こんなことをして何になるんだろうと、とても暗い気持ちになった。

自分の意見と興味のある視点を、どうにか分かりやすい文章に仕立て上げたい。できればそれを、コツコツ量産し続けるようになりたい。そう思って、様々な本も読んだ。どれも新しい学びのあるものだったけれど、それをすぐ実践で使えるかというと、そういうわけにもいかない。

3週間ブログ記事に手を付けなかったら、量も質もよくなった

2020年は、家で過ごすことが多くて、おのずと切れ目のない生活をしていた。だから年末年始くらいは、メリハリをつけて過ごしてみようと思って、普段はしない大掃除とか、カメラを持って散歩にでるとか、瞑想とかをしていた。そうしているうちにブログのことは、3週間も放置していた。

別にとくに読者がついているわけでもなく、自分もこれで食べて行っているわけでも何でもないので、そのまま放置しそうになったのだけれど、数年分のサーバー代を先払いしていることを思い出して、もったいない精神がじわじわ湧いてきた。

そういうわけで、先日おやつを食べながら久しぶりに投稿画面を開いて手をつけてみたら、自分でも驚くほどに思いつくものを文字に起こすスピードが上がっていた。一気に、1時間で書き上げる。アイデアが単語単語でしかでてこなかったのが、文章で紡ぎ出されてくる。大の苦手な文の構成も、きちんと導入・説明・オチと形作られている気がする。おまけに、いつも「言葉遣いはこれでいいのか」「ただしい情報を出しているか」と、逡巡しまくって削れていた精神エネルギーが減らない。

一体わたしに何が起こったというのか。べつに厳しい師匠について山奥で修行なんてしていない。掃除や散歩をする以外は、いつも通り、ごろん・でれんとしていた。

去年から1時間で書き上げたい、と思っていたけれど結局1本かくのに8時間9時間はかけていた。息を止めて書く、というnoteのマネをしてみたこともあった。でも文章をまとめるスピードは全然上がらなくて、物理的な酸欠と心苦しさで目眩がしただけだった。今は、おだやかに息をしながら1時間とまらずに書ききれる。

レミニセンス: 伸び悩んだら、少し時間をあけたほうが能力が上がる

この、試行錯誤してみて、どうにもうまくいかないものを放置してみたら何故かできるようになっている現象ってなんていうんだろう。友人に聞いてみたら、現象自体は経験があると言っていたから、割とよくあることだと思う。ということは、きっと名前があるはず。

「インターバルを空ける うまくなる」で検索してみたら、当たった。スポーツ関連でよくみられる現象らしい。バドミントンの上達方法について、「学習心理学」の視点から書いてあるブログ記事を見つけた。学習心理学というものがあるのか…

・インターバルを挟んだ直後に成績が向上する現象は「レミニセンス」と呼ばれるそうだ。

・分野を問わず「同じことでも、気分転換したあとのほうがうまくいく」という経験がある人は多いはず。…
これをバドミントンに当てはめてみると、「少しだけバドミントンから離れたときのほうが、うまくいく」ということだ。「テスト期間が終わった直後が一番うまくできた」という冒頭の例などは、まさにこのレミニセンス現象であるといえるだろう。

“レミニセンス効果” というのか。なるほど。レミニセンス(reminiscence)という英単語は、もともと「回想」を意味している。

ボルダリングのブログにも同じことが書いてあった。

・レミニセンス効果とは、活動していないオフ期間に、技術的に能力が向上する現象で、テクニック主体のスポーツによくみられます。

・レミニセンス効果とは神経が強く影響されるのでテクニック系のスポーツほど良く効果を発揮しやすいと言われています。

そういえば、わたしも中学生時代にテニス部に入っていて(案の定、人間関係が難しかった)、練習しても伸び悩んだ時期があった。そうしているうちにテスト期間になり、1週間の練習休みを挟んでみると、テスト期間前はどう工夫してみてもできなかった体の動きが、さらっと出来るようになっていたりした。脳に休養を与えることで、情報と整理しておいてくれる、らしい。

ちなみにこの伸び悩み時期のことはプラトー(停滞期)と呼ぶようだ。学習心理学は、学んでみる価値があるかもしれない。2月の課題図書を設定してみようかな…。

インプットを脳が関連づける時間を与える

あたらしい問題意識を持った状態で気分転換をすることで、情報同士が結びつく、というのもあるんだろう。これは「転移」と呼ぶらしい。

最近、ビル・ゲイツ氏推薦で有名になった本『RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる』の著者デイビッド・エプスタイン氏が提唱する、「領域横断的に取り組む方がスキルがあがりやすい」という理論にも似ている。様々な事例を自分の中にためこんで、それらから普遍的な法則を帰納的に抽出して、それを自分の行動に還元してくれているのか、脳みそ、すごい。そういえば、百獣の王・武井壮さんもどこかで同じようなことを言っていた気がする。

 

これって「発酵」だな、と

そこまで調べてみて、「知識や体験にも、発酵期間があった方が旨味が増すってことだろうな」という言葉でわたしの理解が追いついた。

トイレやお風呂で意図せず良いアイデアが浮かんでくるのも、無意識のうちに頭が情報を発酵してくれている証拠なんだろう。

心の穏やかさに関してもそうだ。コロナ禍の自粛期間が始まるまでのわたしはとても忙しくて、したいことも多すぎて、隙間時間があったらそこにどんどん作業を詰め込んでいた。メンタルが不調なのをだましだまし、なんとか目の前のことをこなすばかりだった。それが去年中頃から「何もしない」をする時間を作った途端に、するすると心のケアがうまくいくようになったんである。

かなり前から、自分のネガティブ思考回路のままじゃ人生しんどいままだっていうことには気づいていたのに、そこに対して「うまくいくまで、いろんな行動をし続けなきゃ」と切迫した思いをかかえていたのが逆効果だった。

伸び悩んだら、ふらついたら、スピードを落とす。できたら止まってみる。それはきっと発酵期間だから。

これは今後の人生で、たぶん何にでも当てはまるセオリーだ。