結局、自分を守るには戦うしかない:ワンダーエッグ・プライオリティ

 

今季から始まったワンダーエッグ・プライオリティというアニメを教えてもらった。とても「しんどい」アニメなのだけれど、色彩がとても綺麗なのと、このご時世のこのアニメを作った意図・伝えたいメッセージが気になるから、見てしまう。まだ始まったばかりで、今週、第二回目がオンエアーされたところだ。原作なしのオリジナルアニメ作品、カテゴリはダークファンタジー…になるのかな。

最近人気の高い呪術廻戦の、特殊能力をもった主人公が最強の師匠と仲間たちと共に悪と戦う、という少年漫画のフォーマットは見ていて安心するし、呪いという切り口はワクワクする。

でもこのワンダーエッグ・プライオリティの方が、痛めつけられた少女の闘いを綺麗なアニメーションで描き、そしてエンディングの予想がつかないという点で、わたしは面白いと思っている。

ちなみにモルカーは見ていません。

「ワンダーエッグ・プライオリティ」オフィシャルサイトより

 

(ここからネタバレを含みます。)

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ワンダーエッグ・プライオリティの主人公は、不登校の中学生『大戸アイ』。瞳の色が片方ずつ違っていて、きれいな青と黄をしている。本人はこの色違いのオッド・アイを持っていることをひどく気にしていて、いつも片方を髪の毛で隠してしまっている。アイは、夜の散歩が日課だ。ある日一匹の虫を埋葬したところから、不思議な世界に誘い込まれる。

その住人『アカ』から渡される『ワンダーエッグ』を割ると、同じように学校生活で痛めつけられている子が現れ、さらに突然得体の知れないモンスター(?)の集団にも襲われ始めた。それに加えて目にモザイクがかかった、いじめの主犯がニヤニヤしながら近づいてくる。でもアイには攻撃してこない…エッグから現れた、トラウマの持ち主だけが狙われるのだ。アイが主犯を倒さないと、それが延々に続く世界。

「立ちむかえ!」アカの声が響く。

モンスターたちと主犯からの襲撃をかわし、主犯を倒すと1ゲーム・クリアだ。アイには、これを繰り返すと、以前転落しした親友『小糸ちゃん』が生き返るかもしれない、ということが知らされる。

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脚本を書いているのは野島伸司氏で、1990年代から暴力、いじめ、障害者、自殺問題など現代社会の暗部を独自の視点で鋭く切り取った作品を多く手がけている。といっても、わたしは野島氏が脚本を書いたドラマをまったくみたことがないのでwikipediaページからの伝聞だ。

第1話、第2話を見た時点で、すでに主人公とその仲間が痛めつけられるシーンが長くて、気が重い。守ってくれる大人も知識もなく翻弄されて、自力で生き延びるしかない世界は残酷だ。視聴後に、とてもざわざわした気持ちで落ち着かなかったので、とても甘いミルクティを入れた。結局逃げてもきりがなくて、戦って潰さないといけないのか、自分たちで。

いったいこの世界観をビジュアルに落とし込んだ人は、どういう人生を辿ってきたのだろう?つい、そんなことを考え始めてしまう。きっと、それが良いシナリオライターの仕事ということなんだろう。

テーマは今のところ、学校でのサバイバル、いじめ、真の友達とは、というたくさんの人が悩む部分。義務教育不適合者にはあるあるネタも多いように見える。「友達になろうよ」という言葉を互いに掛け合う少女たちは、けなげだ。わたし自身は、あまりそういうロマンチックな友情を育んでこなかったので、そんなこともあるのかなぁ、と、そのシーンに関しては他人ごとに見るだけでしかない。

このアニメのことは、カルチャーを愛し社会問題にも興味のあり、考えることを厭わない人が教えてくれた。内容的にはなかなかお勧めしづらいだろうに、わたしには勧めたいと思ったんだ。その気持ちが、嬉しいなと思った。

そうそう、このアニメは色使いも面白い。血や妬みや悪意が、カラフルでおどろおどろしい色で表現されていて、強い印象が残る。悪役が迫ってくると、アイたちのいる不思議な世界自体も一歩一歩染っていくのだ。

ストーリーは気になる、でも不気味だから大きな画面で見たくないな、と思い、わたしは古くて小さいスマホを引っ張り出した。そして、わざわざそのスクリーンを薄目を開けてみている。主人公は迫りくる恐怖に立ち向かうが、わたしは遠くからそぉっと見るだけで精一杯だ。ホラーなんかを平気でリラックスして見られる人に、そのコツを教えてほしい。

アニメを見るだけでそんなに気を張ってしまうのに、なんだかんだ最後まで見てしまうんだろうな。