世間を見渡して、適職を見つける:翻訳がわたしに合っている理由

 

わたしは、大学を卒業してから就職せず、紆余曲折を経て現在は主に日英翻訳をして生計を立てています。翻訳業は偶然たどり着いたキャリアですが、今考えるととってもしっくりきていて、この場所を見つけられてよかったと思っています。

わたしは手当たり次第に目の前にきたチャンスを試してみた結果、落ち着く場所に落ち着いた、という感じですが、自分で自分のことを把握し戦略的に居場所をつかみとっていくにはどうしたらいいか、今後のために整理しておきたいと思います。

これまでの「全く参考にならないわたしのキャリアの話」 記事はこちらから。

全く参考にならないわたしのキャリアの話 (1): 自分で頭を使わない子供

2020年11月21日

全く参考にならないわたしのキャリアの話 (2): 進学先失敗からの就活挫折からの実家逃走

2020年11月21日

全く参考にならないわたしのキャリアの話 (3): 「英語がわかって暇してるヤツ」ポジション

2020年11月27日

全く参考にならないわたしのキャリアの話 (4): 流れ着いた先は翻訳業

2020年11月29日

ハードスキル、そしてソフトスキルの把握

自分に何ができるかを把握するときに、ハードスキル・ソフトスキルに分けて考えてみると案外言葉になっていなかった長所を見つけることができます。自分では当たり前だと思っていることが、実は人にはできないから自分独自の価値になったりする。とくにソフトスキルの部分は見過ごしがちなので、じっくり「あ、こんなものもスキルに入れていいのかも」と探してほしいと思います。

以前関わっていたインバウンド観光を例にとってみます。同じ業種・同じハードスキルを必要とする場でも、ガイド・アテンド業を天職だと思っている友人「ピカギラちゃん」は緻密な語彙力は持っていないけれど、体力オバケでたくさんの人とワイワイ観光地をめぐるのが好き。対してわたしは少人数と、ゆっくり深く味わう議論をしたりテーマを絞った学びをしたい。それに応じて仕事分野の「得意」を磨いていけます。

わたしだと、例えばハードスキルが、

  • 英語力+語彙力
  • 日本語力+語彙力+文章作成能力
  • ネイティブに通じる発音
  • 写真撮影
  • それなりの学術知識
  • それなりの日本文化(着物・料理など)知識
  • それなりのイラスト

ソフトスキルは、

  • いろいろ学ぶのを楽しいと思える
  • 素直にアドバイスにしたがって自分を改善できる
  • 予定外の出来事に柔軟
  • マルチタスクが得意
  • 好奇心がとても強い
  • 詳細な状況説明ができる
  • 先入観や偏見をいれない
  • 少ない人数なら深い対話ができる
  • 少ない人数なら、企画もできる
  • よく寝る: 消耗は激しいが回復力も高め

という感じでしょうか。健康はソフトスキルなのか分かりませんが…でもハードスキルでもないよね。

こんな感じなので、少人数での食にフォーカスしたプログラムなんかを作って運営したりしていました。友人の方は、三十人のフィリピン人のお客さんたちと日本縦断ツアー二週間をバリバリ回したり。その体力と社交性は、ほんとうに素養…。

ちなみに、完璧主義的に自分よりレベルの高い人ばかりを見上げて「自分の能力なんでできているうちに入らない…」と思うのはいったんストップ。自分のレベルで行動したら、自分のレベル感の価値を求めている人は必ずいます。レベルが上がったら、与える価値、そしてもらえる報酬もあがっていく、と考えたほうがうまくいくはず。

できないこと・出来るけどしんどいことを把握する

わたしはかたくるしく考えがちで言葉づかいも固め、パブリックな場が大の苦手なおうち大好きロングスリーパーです。大学生の時は実はバリバリ企業で働きたいという気持ちを持っていたので、大手企業や公益法人のインターンに行ったりしました。その結果、この性格を見て見ぬ振りして頑張り続けると、崩れ落ちるというのも身を持って理解したので今にいたります。

わたしに何が難しいかというと…

  • いつも元気でハツラツとふるまう: 難度5
  • 早起き: 難度5
  • 目的地まで迷わない: 難度5
  • パブリックな場での対人コミュニケーション: 難度5
  • 同じところに座って同じような作業をする: 難度4
  • 通勤: 難度4
  • 笑顔をふりまく: 難度4
  • 抽象的なフレームワークを作る: 難度4
  • 数字を扱う: 難度3
  • 人前に出てプレゼンをする: 難度3

書いていて悲壮な気分になってきたので、このあたりでやめます。

難度5のところは、色々試しても全然改善がみられないので、これを参考にした環境を構築するほうが早いという決断に至りました。だって、マリオカートに例えると、直線道路でみんながピノキオで爆走している横を、ひとりだけクッパを使っている感じだから。

わたしは人付き合いに大変多くのエネルギーを消費してしまうし、朝起きられないし、会社員は向いていないだろうな、と前々から思っていました。そして、語学力だけとったら「しっかりした人にみえる」ので、単にコミュニケーションをさぼっていると思われるのです。さぼってるんじゃない…本気でやってその程度なのです…。

努力ができないわけじゃない。でも人よりマイナススタートからめちゃめちゃ頑張って、でも結局人の8割の効果しか出せない分野で成功するイメージをしてみても、それは全然幸せじゃない。

逆にずっと一人でいても、締め切りさえあればタスクを達成できます。自分で作業効率化もできるし、チャットだけの会話でもコミュニケーションを成立させられる。この辺りを生かしたほうが自分の心が楽なので、いかにそれを達成するかを模索しました。

「語学を使い、新しい知識に触れられる仕事」ということで通訳の道も考えましたが、通訳は一時的な緊張感の高まりが著しく、時間を拘束され、反射的な身体能力が求められます。発声練習も日常的に必要で、それゆえあまり自分には向いていないかなと思っています。

ライフスタイルとして譲れないものを把握する

  • 睡眠量8−9時間確保
  • 自宅作業可能/ 定時の通勤なし
  • 作業中に音楽を聞ける
  • おいしいものを好きな時間に
  • こころの浮き立つグッズを側におく
  • スケジュールが裁量次第
  • 肩こり回避の楽な服装
  • イスに足を上げられる環境

この辺りが、わたしが絶対に譲れない日常と仕事中の環境の要素です。

これ結構だいじ。これを守っていたら必要以上にこころを病みすぎないですむのではないかな…自分の安らげる環境をしっかり自分の手元で握っておく。逆に、福利厚生によって安定したほうが気持ちいい、通勤は苦にならない、チームワークが楽しい人ならまた選択肢が違ってきますよね。

この、「なにをしないか」を決める思考については、phaさんの生き方が芯が通っていて好きです。

 

翻訳は、毎回タスクに合わせて勉強しないといけないことが多いし、クライアントが何をゴールとしているのかきちんと把握して、それに合わせて自分のスタイルを柔軟に変えて作業をしないといけないという意味で、高度なスキルが必要です。またわたしが行っているのは「実務翻訳」と呼ばれる地味なもので、自分の名前が前面に出るような仕事はしていません。

ただ、「締め切りを守って求められるクオリティの納品をしていれば、文句を言われない」という職でもあります。たとえわたしが昼過ぎに起きて寝っ転がってパジャマで仕事をしていようが(身体と心の調子が悪くなるので、おすすめしません)。毎日知らない人に会って、自分が苦手なビジネスマナーに常に気を張っていなければならないこともない。

また、そんなに収入が多い職種ではありませんが、収入が低すぎる職種でもありません。幸運なことに健康体だし借金もありませんので、都会の片隅で慎ましく一人暮らしをする分には、全く困らずに生活ができます。もともと派手に買い物をすることや飲みに行くことは好きではないし、趣味も読書なので、生活コストとのバランスは良好です。

 心理テストMBTIで把握した自分の性質から考えてみる

後付けですが、この心理テストは「思考・感情・感覚・直観」の四つのカテゴリにわけて心理傾向を診断するものです。どの人の結果をみても、これによって把握できる心理機能はけっこう正確。性格と、そして認知傾向も把握できる。

MBTIは16personalitiesのサイト が分かりやすくておすすめ。

わたしは、MBTI 性格テスト診断では INFP(内向的・直感型・感情型・知覚型)です。とある日本語サイトの説明、当てはまる部分が多かったです。(以下のリンクを参照)

仕事でいうと、以下の部分がとくに当てはまるな、という感じ。

・口頭で述べることはぎこちなくても、紙面上に自分の感性や意見を表現することは得意です。 少々練習すれば、豊富な語彙力と多彩な比喩表現を駆使し、 自分の考えや物語を分かりやすく流暢に紙面に綴ることができるようになるでしょう。

・母国語ばかりでなく古典文法や、外国語を学ぶセンスもあります。 芸術における創造的な仕事や語学の実践に関しては、細かい部分にまで注意が行き届き、集中することができます。

16タイプの性格分類まとめwiki

他のサイトでINFPの適職リストを見てみると、

ポール・D・ティーガー氏によるINFPの天職リスト

●クリエイティヴ/芸術関係
画家・彫刻家・ライター・詩人・小説家・ジャーナリスト・エンターテイナー・建築士・俳優・役者・編集者・音楽家・グラフィックデザイナー・エディター/アートディレクター・作曲家・舞台芸術・インテリアデザイナー・DTP・技術者
活かせる強み → 「本質が芸術家」と言われるINFPは芸術系との相性が抜群。一人または少人数で注力できるものを探そう

●教育/カウンセリング
大学教授・臨床心理士・司書・カウンセラー全般・教師・保健師・コーチ・慈善事業コンサルタント・キャリアカウンセラー・学芸員など
活かせる強み → 知識欲があって知見を深めたり学ぶことが好き

●健康・医療
マッサージ師・栄養士・ケアマネージャー(社会福祉士)・作業療法士・言語聴導士・
活かせる強み → 相手の痛みが分かり共感力が高いので意外と医療などのサービス業で活かせる

●宗教
聖職者・宗教教育者・伝道者
活かせる強み → 生まれながら「生きる意味とは?」を求めるINFPには隠れた天職かも

●組織開発
人材育成トレーナー・心理学者・就職支援コンサルタント・労使関係・チームトレーナー
活かせる強み → 他人の適職やキャリアを見つけたい欲求が強い

【保存版】INFPの強みや思考パターンから適職や天職を考えてみた!

伝道者向いてるのか…(遠い目)

じゃなくて。

ものづくり、はなしを聞く、深く知る、人を結びつける、あたりがキーワードですね。今までの経験に照らし合わせても、ライター×知識吸収にあたる仕事が向いているようです。翻訳もそうですね。あとは、手先の感覚も鋭いのでマッサージ師向きかもしれません。ただ、体力とコミュニケーション力がなんとかなれば、の話。

他に適職として思いつくのはプログラマー。SE(システムエンジニア)は、設計もできて面白そうですが、顧客の要望を聞きながらプログラマーを率いてプロジェクトの企画開発をする職なので、チームワーク・状況把握能力・ビジネス的に好感が持てるふるまいが必要そう。翻訳業界で食べていけなくなったら、職業訓練所に速攻飛び込んで、多言語アプリつくって、優しい人にあふれた企業に入れてもらいたい。

もし音楽センスがあったなら、youtubeやサブスクサービスで「集中BGM」なんかの環境音楽を作って、顔出しなし・作品でのリピート再生をねらっていたかもしれません。

このテストを受けるまえから上下関係のない、表情が薄くても怒られない、そして新しい知識に触れられる、職人っぽい仕事の方が合うな、と思っていましたが、より明確に自分の傾向が言語化されてよかったです。

今いる場所が「なんか違うな…」と思ったら、とりあえずこの心理機能診断、してみてもいいのではないでしょうか。簡単ですし、無料ですし。自分が嬉しくなる居場所をかぎつけるヒントになってくれます。

まとめ

「いまからキャリアを選択したい、違う道に行きたい、でも自分には劣る部分が多くて…。」そんな悩みを持っている人にも、きっと適職はあるはず。「働くの、向いてない。生きるのすら、向いてない。」とずっと思ってきたわたしも、無理して仕事に自分を合わせない決意をしてから、ずいぶんと楽になりました。

わたしは、業界的には年若い方のはずです。英語力的が高いなら、商社や物流会社や外資系企業に就職した方が、年収、転職のしやすさ、キャリアでの自己実現のしやすさ、コネクションの豊かさ、全てにおいて勝ると思います。それでも、わたしは今の生き方と心の安寧が気に入っています。

もちろんこれだけの要素では、把握できる部分も少ないですから、自分にとってなにが幸せな働き方なのかを論理的に考えさせてくれる「科学的な適職」なども読んでみてください。