寝付けなかった悲哀こもごも


しくじった。完全に入眠に失敗した。

7月になっても羽毛布団で寝ているせいか。羽毛布団はすごい、暑い時は熱を逃し寒い時は保温してくれる。でも7月ともなると流石にその温度調節機能の限界を超える。布団をかぶってもはいでも、帯に短し、たすきに長し。

そういえば、昨日夜の6時にコーヒーを飲んでしまったっけ。寝る準備をして部屋を暗くしてからつい携帯をいじってしまったな。足腰や肩甲骨周りの筋肉の強張りもひどい、自律神経が完全にいかれている。

 

薄ら青い朝の光に似合わず、獰猛な蒸し暑さが重い。それなのに鼻汁とくしゃみが出る。ここ数年風邪をひいていなかったのに…。

このひきかけの風邪の原因はわかっている、昨日の雨の中をはしゃいで走り回ったからだ。雨はきらいじゃない。ジョギング中に雨が降ってきて、その細やかな水滴が顔に腕に当たるのが気持ちよくて、どんどん服に水が浸透するのにかまわずくるくる15分くらい走り回った。途中肉まんが食べたくなってコンビニに寄るも、夏のコンビニには肉まんは売っていなかった。それに鼻白んで、またポケットに手を突っ込んでぶらぶら雨の中をゆっくり歩いて家に帰ったのだ。だから身体が冷えたのかもしれない。肉まんがあったら身体が冷えなかったかもしれない、肉まんを置いていなかったコンビニのせいだ。しかし、大人が雨の中はしゃぎまわってはいけないのは、節操がないとかじゃなくて風邪をひくからだな…。

これでも健康に気を使って生きている方だと思う。たばこやお酒は好きだが、何事もバランスだと思い、嗜みを超えるような容量は摂らない。PFCにも気を配り(すこし糖質をとりすぎ、いらだちを感じると甘いものを食べてしまう)マルチビタミン・ミネラルサプリとマザーセブンを毎朝かかさずのんでいる。

マザーセブンとは婦人病に効く漢方・ビタミン・鉄が配合されてあるサプリで、パッケージには「更年期障害に…」と大きく書いてある。別に更年期障害ではないとは思うが、ここ最近朝っぱらからずっと身体がだるい。だから貧血や肩こりや足腰の冷えへの効果を期待して買ってみた。いまのところ効果は感じられない。身体のだるさは心因性または運動不足でしかないのだろうか。

ちなみに生理は生まれてこの方ずっと不順だから、順当とは何かがよくわからない。かならず28日周期で乳房が痛み、気分が乱高下し、内臓が殴られるような鈍痛とともに股から血を流し、朝ベッドが血塗れになっている心配で飛び起きるのはちょっと大変すぎてさらに生きる気力を失うだろうな、と思っている。3・4ヶ月に一回その思いをするのでも辟易しているのに。基礎体温をつけて排卵しているか確認しようね、といつかの産婦人科医に言われたが、朝一番に基礎体温計を舌の裏側につっこみ、その記録をつけることが達成できない。就活をして大きな会社に入り、生き生きと自分らしくやりがいのある仕事をするのと同じくらいに達成できていない。

 

小鳥が遊ぶ声が外から聞こえてくる。あれは巣立ちたてのツバメの雛が餌をねだる声だろうか。近所の誰かが窓を開ける音、キッチンコンロに着火する「チチチチチ…」という音、バスが停留所に止まりドアが開く音。

今日は頭をつかう作業は何もできないだろうな。本を読むなんて到底無理だろう。頑張って文字を追っても、意味はつるつる視覚の上を滑り去ってしまう。睡眠リズムを直したいから、昼に寝落ちて起きたら真っ暗、なんていう事態は避けたい。今日は買い物と、理容室と(そう、刈り上げを入れるのと手軽なのでもっぱら理容室にいく)、散歩と洗濯、身体を動かす手慣れた家事をしよう。冷凍庫の霜取りをそろそろしないと。

ああしかし10年間不眠に悩んでいる知り合いがいるけど、これが果てしなくつづくのは本当につらいだろうなあ。眠れても3時間ほどらしい。わたしはいつも8時間以上寝ないと起きられないし9時間寝ても眠いので、睡眠の需要供給がうまいことバランスを取れるように再分配される世界が実現しないかなあ、とぼんやり願っている。わたしもストレスで不眠になったことはあるけど、原因がはっきりしていたから改善は難しくなかった。若い時のある日突然眠りが浅くなって、どんどん歳を重ねてもそのまま、というのはどんな心持ちなんだろうか。とても知的で常に脳味噌フルスロットルな方なのだけれど、そんな人の睡眠が浅い、あるいは睡眠が浅いのにその状態が保てているというのがある意味人体の不思議だ。

 

もう空がだいぶんと明るくなってきた。暑い、あまりにも暑い。サーキュレーターをつけようか、でも風を浴びると鼻炎が悪化する気がする。このご時世に風邪をひいて病院のお世話になりたくない。今日はダメな日だ、ダメな日はダメな日らしく大人しくすごそう。

「チュン、チチチ」

君にも眠れない夜はあるのかい、スズメよ。